カンボジア料理は、多くの日本人の口に合うとされています。その理由は、素材の味を活かした調理法に加え、日本料理にも似た優しい風味が特徴だからです。本記事では、カンボジア料理の魅力を詳しく探ります。
カンボジア料理の基本
クメール料理とは?
カンボジア料理は、クメール料理とも呼ばれ、東南アジアの中でも独特の食文化を持つことで知られています。健康食として有名なタイ料理やベトナム料理の影響を受けながらも、独自のスパイス使いや調理法で発展してきた歴史があり、新鮮な食材を活かしたシンプルながらも奥深い味わいが特徴的です。
クメール料理の歴史
クメール料理の歴史は古く、紀元前から続くと言われています。古代クメール王朝時代には、インドや中国の影響を受けながら独自の食文化が形成されました。その後、フランス統治時代には西洋料理の影響も受け、複雑な時代背景を経て現在のクメール料理へと発展してきました。
以下、テキサス工科大学栄養学名誉教授を務め、食文化について100以上の論文や著書を公開しているヘレン・C・ブリティン氏が執筆した『国別 世界食文化ハンドブック 』からの引用です。
食文化への影響 | 20世紀の前半、王宮と貴族の館の料理は見た目も鮮やかなものだったが、後半には流血の惨事と騒乱とに振り回される日々だった。カンボジア料理はインド北部、マレーシア、中国に影響され、さらにインゲンマメ、ジヤガイモ、フランスパン、ペストリー、コーヒーなどフランスの影響も見られる。広く浸透している小乗仏教が食にも影饗を与えている。小乗仏教は霊的完成を目指す一人ひとりの努力を重視しており、寺院と僧への布施は生まれ変わりを通しての成長には欠くことができず、托鉢に応えることは重要である。カンボジアの地形と気候は稲作と、トウモロコシ、キヤッサバ、野菜、果物、カシューナッツの栽培に適しており、家畜も飼育しやすい。タイランド湾と多くの湖、河川では魚が獲れる。 |
パンと穀類 | 米(短粒米と長粒米)、トウモロコシ、小麦:米科理、ビーフン、麵。フランスパン、ペストリー。米が主食で、ビーフンも多くの料理に使われる。白いトウモロコシが栽培され、食べられている。 |
肉と魚 | 鶏肉、牛肉、豚肉、水牛、ワニ、魚(ほとんど淡水魚):魚醤、発酵した魚の食品。東南アジア全域で魚醤(トゥク・トレイ)が使われ・食事にたんぱく質を加えることにもなっている。カンボジアには魚から作る発酵食品はプラホック(魚が入ったぺースト)とファーク(塩水につけた魚と米)の2種あり、どちらも洗って下ごしらえした魚で、何週間もかけて作られる。 |
乳製品 | コンデンスミルク(コーヒーに使用)、生クリーム(ペストリーに使用) |
油脂 | ココナッツクリーム、ラード、べーコン、バター、マーガリン、ピーナッツ油、植物油 |
豆類 | 大豆と大豆製品(豆乳、大豆を発酵させたもの、もしくはテンペ)、落花生、ヒヨコマメ、レンズマメ、緑豆 |
野菜 | キャッサバ、タピオカ(キャッサバもしくはタロイモから作られる製品)、キャベツ、ケール、ニンジン、サヤインゲン、キュウリ、ラディッシュ、クズイモ、プランテーン、ニガウリ、ジャガイモ、トマト、カボチャ、ナス、クワイ |
果物 | ココナッツ、バナナ、ライム、タマリンド、ドリアン、マンゴー、パパイヤ、オレンジ、レモン、メロン |
種実類 | カシューナッツ、アーモンド、ハスの実、カボチャの種、ゴマ |
香辛料 | 魚醤、発酵した魚のべーストとソース、ライム汁、タマリンド、レモングラス、ココナッツミルク、トウガラシ、ニンニク、ワケギ、ショウガ、ターメリック、生のコリアンダー、ミント。香辛料は繊細で香りがある。たとえば、クルーンはガランガル、ニンニク、カフィアッライムの葉、レモングラス、ワケギ、ターメリックなどのハープやスバイスを刻んで作った調味料である。レモングラスがよく使われ、酸味も好まれる。 |
料理 | 米は蒸したり、ゆでたり、炒めたりする。クイティウはビーフンのスープヌードルで、中国スープとも呼ばれる。淡水魚を焼いたりフライにしたりしたメイン料理。肉や野菜を使った焼きそば。野菜炒め。サラダ。野菜と末成熟の果実を細切りにして、牛肉、家禽類の肉、魚を辛いドレッシングで混ぜてのせたもの。米、野菜を肉とともにバナナの葉、または食べられる葉で包んで蒸す。クロラーン(短粒米、ココナッツクリーム、刻んだココナッツ、調味料を竹の筒に入れ、1時間火で焼いて竹を外す)。オンソーム・チュルーク(米・緑豆、豚肉もしくは豚脂をバナナの葉で包み蒸す)はさまざまなバリエーションがある祝祭食である。 |
国民食 | アモック(魚をココナッツミルクで調理し、葉でくるんだ料理)。バン・チョク(ビーフンと魚のスープ) |
甘味類 | サトウキビ、砂糖、果物、ココナッツのフライ、ココナッツをまぶしたバナナのフライ、甘い黒米 |
飲物 | 茶(バラやジャスミンなどの花とブレンドすることが多い)、豆乳、熱いスープ、果物や豆を使った飲み物、コーヒー、ビール、特別な機会には米を使った醸造酒や蒸留酒。 |
食事 | 午前1I時頃とタ方、1日2回が一般的。標準的な食事は米とスープ(サムロ一)、ある時は以下のどれか:チャー(肉、野菜、ビーフンなどの炒め料理)、アーン(肉もしくは魚のグリル料理)、チオン(肉、魚のフライ料理)。すべての料理は同時に出され、食べる人はご飯を少しとってその上に料理をのせる。スプーンか箸、もしくは手で食べる。 |
間食 | 果物、飲物、タペ(短粒米を発酵させたもので、甘く少しアルコールを含む) |
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人気のカンボジア料理
カンボジア料理には、様々な人気料理があります。代表的な料理としては、魚をココナッツミルクで調理し葉でくるんだ料理の「アモック」、ビーフンと魚のスープの「バン・チョク」が国民料理として挙げられることが多く、その他にもココナッツミルクを使ったカレーやスープ、魚介類を使った炒め物、麺料理などがあります。また新鮮な野菜を使ったサラダや、揚げ物なども非常に人気です。
カンボジア料理の特徴である調味料やスパイスについては、魚醤、ナンプラー、ライム、レモングラス、コリアンダー、クミン、ターメリックなどがよく使われており、これらの調味料やスパイスを組み合わせることで複雑で奥深い味わいを生み出しています。
日本人が好むおすすめカンボジア料理
クイティウの魅力
クイティウは、カンボジアの代表的な麺料理です。米粉でできた平たい麺を、スープや炒め物でいただきます。スープは、鶏ガラや豚骨、魚介など、様々な素材から作られます。具材は、豚肉、鶏肉、エビ、野菜など、お店によって様々です。日本人の口にも合う、優しい味わいの麺料理です。
魚料理アモック
アモックは、ココナッツミルクとスパイスで煮込んだ魚料理です。魚は、白身魚やシーフードなど、様々な種類が使われます。ココナッツミルクとスパイスの香りが食欲をそそる、カンボジア料理の定番です。
美味しいカンボジアスイーツ
カンボジアには、美味しいスイーツもたくさんあります。代表的なスイーツとしては、マンゴーやバナナを使ったデザート、ココナッツミルクを使ったプリン、もち米を使った餅などがあります。甘いものが好きな人にもおすすめです。
首都プノンペンでおすすめのレストラン3選
Kravanh Restaurant
KravanhRestaurantは、プノンペンで人気のカンボジア料理レストランです。古典的なカンボジア料理へのシンプルかつエレガントなアプローチをとっています。レストランの創業者であるトアン・エク・ソフィーは、自身のオーガニック・ガーデンを持つ傍ら、持続可能で伝統的な食材を調達するためにカンボジアを広く旅し、情熱的な小ロット生産者、漁師、栽培者と直接仕事をすることで、最高のカンボジア産の食材のみを厨房に届け、クラシックなメニューを作り出しています。
2009年にKravanhがオープンした当初、プノンペンの高級レストラン・シーンはまだ発展途上で、カンボジアの伝統料理をレストランで味わうことは珍しかったものの、近年のプノンペンは、若い世代が先祖伝来の伝統料理を求めるようになり、料理の才能にあふれた大都市として成長しています。よく研究されたレシピ、伝統的な調理法、繊細でバランスの取れた味わい、行き届いた温かいサービスは、カンボジアの人々に愛され、次世代にインスピレーションを与え、海外からの観光客にも人気必至のレストランです。
HP: https://kravanhrestaurant.com/
Pizza 4P’s BKK1
Pizza 4P’sBKK1は、プノンペンで人気のピザレストランです。イタリア産の食材を使った本格的なピザが楽しめます。カンボジア料理以外にも、西洋料理も味わいたいという人におすすめです。
HP: https://pizza4ps.com/vn/location/706
Zhan Liang Chinese Restaurant
Zhan Liang ChineseRestaurantは、プノンペンで人気の中国料理レストランです。広東料理、四川料理、北方料理を中心とした高級中華ダイニングをお楽しみいただけます。プレミアム・ティー・ライブラリーと焙煎ステーションを備えたユニークなレストランです。本格的な中華料理を、リーズナブルな価格で楽しめます。カンボジア料理以外にも、中華料理も味わいたいという人におすすめです。
営業時間 | 月曜日から金曜日:午前11時から午後9時まで、ラストオーダーは午後8時45分。 土~日:午前9時~午後9時、ラストオーダー午後8時45分 |
料理 | 中華料理 |
ドレスコード | スマートカジュアル |
HP: https://www.vattanaccapital.com/rosewood-phnompenh/dining/zhan-liang-chinese-restaurant/
カンボジア料理は、新鮮な食材を活かした、シンプルながらも奥深い味わいが特徴です。様々なスパイスや調味料が使われており、日本人の口にも合う料理がたくさんあります。カンボジアを訪れた際には、ぜひ本場のクメール料理を味わってみてください。