カンボジアは魅力的な観光地が多い一方で、訪れる前に知っておくべき注意点が存在します。この記事では、カンボジア旅行を計画する際に考慮すべき治安情報や防犯対策を解説します。
東南アジア4カ国の治安比較
以下の表は、外国人が不動産保有可能な東南アジア4カ国の治安比較表になります。
国名 | 日本 | タイ | マレーシア | フィリピン | カンボジア |
---|---|---|---|---|---|
情勢 Global Peace Index (GPI) from IPE 2022 | 1.34 | 2.1 | 1.5 | 2.3 | 1.8 |
GPI区分 ※低い数値 = 安全性が高い | Very High 1.00 ~ 1.46 | Medium 1.91 ~ 2.35 | High 1.46 ~ 1.90 | Medium 1.91 ~ 2.35 | High 1.46 ~ 1.90 |
出典元:https://www.economicsandpeace.org/wp-content/uploads/2022/06/GPI-2022-web.pdf
世界的に有名な経済と治安に関するリサーチ会社『Institute for Economics & Peace』が発表している治安に関する指標GPIを見てみると、多くの皆さんが意外に思う結果が見て取れると思います。GPIは数値が低いほど安全性が高いとされており、日本は1.34でVery High(最も安全な区分)に分類されます。次いで、マレーシア、カンボジアがMediumに分類されます。GPIとは、国土全域における安全性を示す指標のため、カンボジアは経済発展著しいマレーシアと遜色ない治安を誇ると世界的に認められているのです。一方で、カンボジアよりも経済発展が進んでいるフィリピン、タイはそれぞれ2.0を上回る数値を記録しており、改善の余地があるとみられています。
多くの場合、経済の豊かさが人々の心のゆとりに繋がり、治安の安定性に繋がるとみられていますが、表の中で経済的に最も貧しいはずのカンボジアが治安に優れているのは、人々が大切にしている信仰心や古くから日本、韓国、中国から支援があったことで生まれた他者への感謝心が治安の安定性に紐づいているのではないかと思います。
カンボジアの最新治安状況
観光客が狙われやすい地域
上記からも分かるように、カンボジアは近年観光客が大幅に増加しており、全体的に治安は安定していると言われています。しかし、観光客を狙った犯罪も一定発生しており、日本と比較すると勿論注意が必要です。特に、観光客が集中するエリアや、人通りの少ない場所では、スリや置き引き、ぼったくりなどの被害に遭う可能性があります。
特に注意すべきエリア
- シェムリアップ(アンコールワット遺跡)
- トレンサップ川沿いのリバーサイド(プノンペン)
- ココン(タイの国境付近)
- シアヌークビル(カンボジア西部のリゾートエリア)
- オールドマーケット(人気繁華街)
カンボジアの観光地として人気の高いシェムリアップや、首都プノンペンでは、観光客向けのレストランや土産物店が集中しており、フランスのパリなどと同様に、一般的にスリやぼったくりなどの被害が集中しやすい傾向があると言えます。特に、アンコールワットなどの遺跡周辺や、ナイトマーケット、繁華街などでは、周囲に注意が必要です。
また、人通りの少ない場所や、薄暗い路地なども、危険なため、夜間は避けるようにしましょう。特に、女性の一人歩きは、危険が伴うため、できるだけ控えるべきです。都市部を中心にGrabという白タクシーとデリバリーのサービスが広く普及しているため、どうしても外出が必要な場合は活用することをお勧めします。
時間帯による治安の変化
カンボジアでは、時間帯によって治安が変化します。特に、夜間は日中に比べて犯罪発生率が高くなる傾向があります。特に、人通りの少ない場所や、薄暗い路地などは、夜間は危険なため、避けるようにしましょう。また、深夜に一人で外出する際は、周囲に注意し、できるだけ明るい場所を歩くようにしましょう。ボンケンコンをはじめとした高級住宅街のエリアは街灯も整備されている場合が多いですが、少し街から離れると明かりが途端に無くなります。注意しすぎて悪いことはありませんので、安全に楽しめるよう計画的に移動なども行うことをお勧めします。
具体的な例
たとえば、夕暮れ以降のアンコールワット周辺では、観光客を狙ったスリや強盗が発生する可能性があります。また、夜の路上では、タクシー運転手によるぼったくりや、飲酒運転による事故などが発生する可能性があります。流しのタクシーはなるべく利用せず、身元確認が可能なGrabの利用が現地初心者にとっては必須と言えるでしょう。
スリやぼったくりの手口
カンボジアでは、スリやぼったくりなどの犯罪が頻繁に発生しています。スリは、観光客が多い場所や、混雑した場所などで発生しやすいです。特に、市場や寺院、バスやタクシー乗り場などでは、周囲に注意が必要です。
また、ぼったくりは、タクシーや土産物店などで発生しやすいです。特に、観光客向けのタクシーや、観光客が多い土産物店では、ぼったくり価格で商品を販売している場合があります。海外旅行で浮ついてしまう気持ちもあるかとは思いますが、スリやぼったくりに遭わないためには、周囲に注意し、貴重品はしっかりと管理することが重要です。
具体的には、
- 貴重品は、常に自分の視界に入る場所に保管しましょう。
- バッグは、しっかりとチャックを閉め、肩からかけたり、手から離したりしないようにしましょう。
- 財布や携帯電話などは、ポケットに入れないようにしましょう。
- 人混みの中や、路上では、周囲に注意し、スリに遭わないように気をつけましょう。
- タクシーを利用する際は、正規のタクシー会社を利用し、料金交渉は事前に済ませておくようにしましょう。
注意すべき犯罪とその防止策
一般的なトラブルと予防
カンボジアでは、スリやぼったくり以外にも、様々なトラブルが発生する可能性があります。例えば、交通事故や食中毒、病気などです。
交通事故
カンボジアの交通事情は、日本とは大きく異なり、交通ルールが守られていない場合があります。また、道路の整備状況も悪く、接触事故などは日本と比較して明らかに発生しやすい状況です。
交通事故を避けるためには、
- 道路を横断する際は、左右をよく確認し、安全を確認してから渡りましょう。
- 車道と歩道の境界線がはっきりしていない場所では、特に注意が必要です。
- 車両は、急に方向転換することがありますので、注意が必要です。
- 夜間は、特に注意が必要です。
特に、バイクタクシーを利用する際は、ヘルメットを着用するようにしましょう。また、バイクタクシーの運転手は、交通ルールを守らない場合がありますので、注意が必要です。
食中毒のリスク
外国人向けの場所や、現地でもきちんとしたレストランの食事は至って問題ないのですが、カンボジアの路肩で販売されている品々は衛生状態が良くない場所も多く、日本人にとっては食中毒のリスクがあります。
食中毒を防ぐためには、
- 道端で売られている食べ物は、避けるようにしましょう。
- 生水は飲まないようにしましょう。
- 氷も、水道水で作られている可能性がありますので、注意が必要です。
- 食材は、よく火を通してから食べましょう。
- 手を洗う習慣をつけましょう。
被害にあったときの対処法
カンボジアで被害に遭った場合は、冷静に対処することが重要です。まず、身の安全を確保し、警察に被害届を提出しましょう。また可能な場合は、現地の日本人コミュニティへ事前にアクセスしておくと非常事態において非常に心強い味方となってくれるかと思います。
警察への連絡
カンボジアの警察は、観光客に対しては、あまり親切ではない場合があります。しかし、被害届を提出することで、事件の記録が残りますので、被害届は必ず提出しましょう。また、大使館や領事館に連絡し、サポートを求めることも有効です。
大使館・領事館への連絡
選択の一つとして、現地の日本大使館や領事館への連絡が挙げられます。
- 緊急時のサポート
- ビザの延長などの手続きのサポート
- 帰国のための航空券の手配
- 現地の弁護士の紹介
などのサポートを受けることができます。
旅行中に安心安全を保つ方法
カンボジア旅行を安全に楽しむためには、事前にしっかりと情報収集を行い、必要な予防策を講じておくことが重要です。また、旅行中は周囲に注意し、危険な場所や時間帯は避けるようにしましょう。さらに、トラブルに巻き込まれないように、冷静に対処し、必要であれば、警察や大使館に連絡するようにしましょう。
出発前に知っておきたい情報
必要な事前準備
カンボジア旅行を安全に楽しむためには、出発前にしっかりと準備をすることが重要です。
具体的には、
- 最新の治安情報や、必要なビザ情報などを確認しましょう。
- 旅行保険に加入しておくことも大切です。
- カンボジアの文化や習慣について理解しておくことも、トラブルを避けるために重要です。
ブログやYouTubeなどの動画プラットフォームで日本人の方がアップロードしている現地の様子を事前に見てみることも有益な手かもしれません。
現地の治安情報の確認
カンボジアの治安情報は、外務省のホームページや、在カンボジア日本大使館のホームページなどで確認することができます。また、旅行会社や現地情報サイトなども、役立つ情報源となります。
安全なホテルの選び方
カンボジアでは、様々なホテルがあります。安全なホテルを選ぶためには、口コミや評判などを参考にしましょう。また、ホテルのセキュリティ対策なども確認しておくと安心です。首都部であっても、1泊4,000円程度から清潔なホテルに宿泊することが出来ますので、ある程度の安全性は担保しつつ、気になるエリアに近いホテルを探してみると良いかと思います。
カンボジアでの防犯対策
経験者がおすすめする防犯グッズ
カンボジア旅行では、スリやぼったくりなどの犯罪に遭わないように、防犯対策をしっかりと行うことが重要です。
おすすめする防犯グッズとしては、以下のものがあります。
- 貴重品を守るためのバッグ:貴重品は、常に自分の視界に入る場所に保管しましょう。
- ショルダーバッグやウエストポーチなど、盗難されにくいバッグを使用すると良いでしょう。
- 偽造防止機能付きの財布: カンボジアでは、偽札が流通している場合があります。
- 偽造防止機能付きの財布を使用すると、偽札対策になります。
- セキュリティワイヤー:貴重品をホテルの金庫や机などに固定するために、セキュリティワイヤーを使用すると安心です。
- 防犯ブザー:危険を感じたときに、防犯ブザーを鳴らすことで、周囲に助けを求めることができます。
- コピー用紙:カンボジアでは、偽の書類やチケットなどが販売されている場合があります。
- コピー用紙を持参しておけば、偽物を見破るのに役立ちます。
地元の人との付き合い方
カンボジアの人々は、一般的に温厚で親切な人が多いです。しかし、文化や習慣の違いから誤解が生じることもあります。具体的には、敬虔な仏教徒がカンボジアの大半を占めており、僧侶や仏教寺院に敬意を払う必要があります。また王室に対する尊敬の念も篤く、王族に対する言動には注意が必要です。
温厚で怒りの感情をあまり表さないことで有名ですが、人前での非難や侮辱には非常に強く反発するため、一度冷静に話し合ってみる必要がある場合も多いです。
まとめ: 安全で楽しいカンボジア旅行を
安全な旅をするために
カンボジアは、魅力的な観光地がたくさんあり、安全な国です。しかし、観光客を狙った犯罪も発生しています。安全な旅をするためには、事前にしっかりと情報収集を行い、必要な予防策を講じておくことが重要です。
また、旅行中は周囲に注意し、危険な場所や時間帯は避けるようにしましょう。
さらに、トラブルに巻き込まれないように、冷静に対処し、必要であれば、警察や大使館に連絡するようにしましょう。
旅の出発前に確認すべきリスト
カンボジア旅行の出発前に、以下の項目を確認しておきましょう。
- パスポートの有効期限:パスポートの有効期限が、滞在期間より短い場合は、事前に更新手続きを行いましょう。
- ビザの取得:カンボジアへの入国には、ビザが必要な場合があります。事前にビザの取得手続きを行いましょう。
- 航空券の予約: 航空券は、事前に予約しておきましょう。
- ホテルの予約: ホテルは、事前に予約しておきましょう。
- 旅行保険の加入:旅行保険に加入しておくと、病気やケガ、盗難などのトラブルに備えられます。
- カンボジアの通貨: カンボジアの通貨は、リエルです。事前に両替しておきましょう。
- カンボジアの文化や習慣:カンボジアの文化や習慣について、事前に調べておきましょう。
- 緊急連絡先: 大使館や領事館などの緊急連絡先を、事前に確認しておきましょう。
異文化を楽しむ心構え
カンボジアは、日本とは異なる文化や習慣を持つ国です。異文化に触れることは、旅行の楽しみの一つですが、同時に、トラブルの原因となることもあります。
異文化を楽しむためには、以下の心構えを持つことが大切です。
- 相手の文化を理解しようと努めましょう:相手の文化を理解しようと努めることで、誤解やトラブルを避けることができます。
- 相手の文化を尊重しましょう:相手の文化を尊重することは、相手への敬意を示すことです。
- 柔軟に対応しましょう:旅行中は、予期せぬ事態が起こることもあります。柔軟に対応することで、トラブルを最小限に抑えることができます。
- オープンマインドで接しましょう:オープンマインドで接することで、新しい文化や価値観に触れることができます。
カンボジアは、豊かな歴史と文化を持つ国です。安全に注意しながら、異文化に触れ、楽しい旅をしましょう。