【3分でわかる】カンボジアってどんな国?大注目を集める理由を徹底解説!
カンボジアの現状
『6%』これは、何を表している数値だと思いますか?
こちらは現在のカンボジアの経済成長率です。コロナ禍の前の数年間カンボジアは、 7%の水準で成長を続けてきました。これは、日本の高度経済成長期と同じ成長率になります。かなり驚いた方もいたのではないでしょうか。カンボジアは飛躍的な成長を遂げている最中なのです。
カンボジアというと、内戦や貧困もしくは日本による学校開設が思い浮かぶのではないでしょうか。経済発展の進むカンボジアは、皆さんの知らない魅力がたくさんあります。現在では観光地としてはもちろんこと、ビジネスや投資といった観点でもグローバルに注目を集めています。
本記事ではそんなカンボジアについて特徴や魅力からビジネスや投資といった領域まで、「カンボジアってどんな国?」をテーマに徹底的に解説します。現在のカンボジアの根源となる、歴史的背景や文化的背景を絡め解説していきますので、是非ご興味のある方はお読みください。
カンボジアってどんな国①:カンボジアの基本情報
カンボジアの基礎データ早見表
正式名称 | カンボジア王国 |
面積 | 18万1,035平方キロメートル(日本の約半分) |
人口 | 1,530万人(2019年カンボジア国勢調査) |
平均年齢 | 24.5歳 |
首都 | プノンペン |
民族 | 人口の90%がカンボジア人(クメール人)とされている。 |
言語 | クメール語 |
宗教 | 仏教(一部少数民族はイスラム教) |
通貨 | 米ドル(80%)、リエル(20%) |
国内総生産(GDP)成長率 | 5.8% |
その他情報について
場所
カンボジア王国は東南アジアに位置します。国土面積は日本の約1/2で、西にタイ王国、東にベトナム社会主義共和国に挟まれユーラシア大陸で中国とは地続きで繋がっています。
現在までの歩み
1970年代のクメール・ルージュ率いるポル・ポト政権による大量虐殺やその後の内戦を経て、1990年代に民主的な選挙が行われ、立憲君主制国家として歩んでいます。
経済
2011年以降は7%前後の高い経済成長率を記録し続けています。近年プノンペンやシェムリアップなど都市部の発展が目覚ましいものの、いまだに貧困に苦しむ人が多いのが現状です。
カンボジアってどんな国?②:直面している問題
上記にまとめた通りですが、経済成長を続けるカンボジアです。昨今では、注目度も高まっている国の一つといえます。
一方で、発展途上国ということもあり
カンボジアの問題1:生活環境と栄養失調
1-1:安全な水が使えない
全人口のうち安全な水を利用できるのは79%、トイレを利用できるのはわずか59%と言われています。
1-2:5歳未満児の発育阻害率の高さ
栄養不良に苦しむ子どもたちが多いです。5歳未満児の発育阻害(年齢に見合わないほど身長が低い)率は32%にも上ります。
1-3:医療のサービスが不足
特に田舎の地域で貧困が深刻な問題となっており、医療のサービスが不足しており、多くの人々が基本的な生活水準を満たせていません。
カンボジアの問題2:教育体制
十分な研修を受けた教員が不足しており、教育の質がとても低いです。小学校の修了率は男子が68%、女子が79%に過ぎません。
貧困地域では、子どもたちが学校に行けずに働くことが多く、教育の機会を失っています。
カンボジアの問題3:その他
農村部から都市部の縫製工場や建設現場、海外へ出稼ぎに行く親が非常に多いです。
親が不在の間に、見知らぬ人や親戚、近所の人などに騙されて、人身取引や児童労働に従事させられてしまう子どもたちもいます。
引用1:「3分でわかるカンボジア ~カンボジアって、どんな国?」
引用2:「カンボジアの経済格差や貧困の現状」
カンボジアってどんな国?③:経済成長と注目度の高まり
飛躍的な経済成長
冒頭でも触れましたがカンボジアは今飛躍的な成長を遂げています。アジア開発銀行(ADB)が発表した報告書「アジア経済見通し」では、カンボジアの2024年の国内総生産(GDP)成長率を5.8%と予測しており、世界的なリサーチ機関であるIMFはそれよりも高い6.2%と発表しました。更に、2020年のコロナ禍を迎える前の約10年間は、平均7%の経済成長率で劇的な成長を遂げてきており、この数値は日本の高度経済成長期に並ぶ、世界的に見ても目覚ましい水準です。日本の高度経済成長期を思い返していただけるとわかりやすいのではないでしょうか。
大きな成長率で成長を続けるカンボジアは、グローバルに注目を集めています。ここまでの成長率だと皆様も気になるのではないでしょうか。そんな注目の的であるカンボジアの経済成長の要因について解説します。
カンボジアに関する記事:https://jci-lab.com/archives/column/001
観光地としてのカンボジア
経済発展を進めるカンボジアですが、観光業はカンボジア経済にとって重要なエンジンの一つです。
カンボジア観光統計報告書2023年によると、2023年の総観光客数は前年比240%の545万人でした。コロナ禍前のピーク時に比べると劣るものの、急激な回復を見せています。2023年10月16日には、新たにシェムリアップ・アンコール国際空港がカンボジアの玄関口として、世界的な観光地のアンコールワットにオープンしました。東南アジアに位置し豊かな歴史と文化を持つ魅力的なカンボジア。世界遺産であるアンコールワット遺跡を保持していることもあり、観光地としての成長を期待されております。
また、一方でカンボジアの成長は観光業だけではなく、他産業でも成長を遂げています。
観光業だけでない、カンボジアの経済成長
現在のカンボジアの成長産業は、農業と製造業です。また直近では首都中心部にIT技術に特化した大学が設立されるなど、ITの領域も盛んになりつつあります。特に農業は重要な産業とされています。産業別GDPは、農業:20.7%、製造業:34.2%、サービス業:39.8%、建設業:5.3%とサービス業を除くと農業と製造業が中心となっていることがわかると思います。
農業が盛んな背景としては地理的要因の影響が大きいです。カンボジアの特徴で前述しているメコン川とトンレサップ湖などの影響により水資源が豊富です。また、メコン川とトンレサップ湖の周辺に広がる肥沃な沖積土壌が農業に適しており、米やその他の作物の生育に適しているのです。このようにカンボジアは農業に適している国であり、重要な産業にもなっているのです。
製造業が盛んな理由として、人口分布と政策が影響しています。人口分布についても特徴の部分で前述していいますが、平均年齢の若いカンボジアは労働人口の割合が高いです。そのため低コストの労働力を背景に国の主要な産業として発展していったのです。
また、カンボジアの工場とも言われるように多くの外資系企業がカンボジアに工場を設立しています。税制優遇措置などを含む様々な政策を実施したことにより、外資系企業の直接投資が増加しており、これが製造業の発展を支えています。
このように、カンボジアの特徴から農業と製造業の発展が進んでいるのです。ただ、気になるところとして、なぜここまで平均年齢が若い国であるのか、また外資の受け入れ体制が整っているのかなどが上がってくるでしょう。
低い平均年齢
カンボジアの平均年齢は24歳と若いことが特徴です。詳細については後述していますが、歴史的背景のもと現在のような人口分布になっています。
労働人口の増加が続くカンボジアは、柔軟で適応力のある労働力が製造業やサービス業の発展に貢献しています。上記の理由により、経済の発展と外国からの注目が集まっているのです。
流通通貨が米ドル
カンボジアの経済はドル化されており、国内の多くの取引が米ドルで行われています。現在、流通額の約85%が米ドルです。預金口座の米ドル率も90%以上となっています。元々は、自国の通貨であるリエルが使用されてましたが、1990年代初頭の経済再建期に、外国からの援助や投資が増加したことにより米ドルが広く流通されるようになりました。歴史的背景の詳細については後述しています。
米ドルでの取引が可能なことで、多くの外国企業や投資家からの注目が高まっております。基軸通貨である米ドルを稼ぎたい企業や投資家からの注目を集めております。
カンボジアってどんな国?④:現在の政治状況と親日国家
カンボジアは、長い歴史と複雑な政治背景を持つ国です。今回は、現在の政治状況と日本との関係、そして「親日国家」としての背景について解説します。
現在の政治状況
カンボジアは、1970年代のポル・ポト政権(クメール・ルージュ)の時代に多くの知識人が虐殺され、社会は壊滅的な被害を受けました。その後、1991年のパリ和平協定により、内戦が終結し、国の再建が進みました。現在のカンボジアは、憲法に基づく立憲君主制と議会制民主主義を採用していますが、長年にわたりフン・セン元首相が実権を握っていました。フン・セン氏の退陣後も、彼の息子であるフン・マネット氏が後継者となり、権力構造は大きく変わらないとされています。
政治は安定しているものの、選挙の自由や人権の問題が指摘されることもあり、国際社会からの批判も存在します。しかし、経済の成長は続いており、インフラ整備や都市開発が急速に進んでいます。
2. 日本との関係
カンボジアは、親日国家として知られ、日本との友好関係は深いものがあります。日本はカンボジアの再建期から支援を行い、経済や社会の発展に貢献してきました。特に、インフラ整備や教育支援、文化交流など、多岐にわたる協力が進められています。
カンボジアは親日国家?
カンボジア人は親日国家で有名です。
日本の外務省が実施している対日世論調査において、カンボジア人(調査対象300名)は97%が日本を信頼していると回答しています。日本が、カンボジアへ多くの支援をしていることから親日派が多いとされています。カンボジアの紙幣であるリエルの一部には、日本が支援して作られたとされている橋が描かれているほど影響力が多いと言えるでしょう。またカンボジアと日本の関係はかなり長いです。在日本国カンボジア王国観光省(政府観光局)によると、1603年、徳川家康がカンボジア国王に通商(朱印船制度創設)に関する書簡を送っています。この後、両国の間で通商が活発になりました。結果的に、カンボジアに住む日本人もいたそうです。
引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00504.html
引用:https://corp-japanjobschool.com/divership/cambodia#index_id10
カンボジアってどんな国?⑤:教育状況
直面する問題
カンボジアの教育システムは、ポル・ポト政権時代(1975〜1979年)の影響を大きく受けています。この時代に、教師や知識人が多く命を落としたため、教育の基盤が壊滅的な状態となりました。現在も、地方では学校や教師が不足しており、子どもたちが十分な教育を受けられない状況が続いています。また、家庭の貧困や児童労働の問題も深刻で、子どもたちが学校に通えず働かざるを得ないケースも多いです。さらに、カリキュラムの質や設備の老朽化、教育の質のばらつきも課題とされています。
改善するべきこととは?
こうした問題に対し、カンボジア政府は教育改善のための政策を進めています。
特に、初等教育の普及を目指して学校建設や教師の育成に力を入れています。近年は、ICT教育にも注力しており、都市部ではデジタル教材の導入も進んでいます。また、NGOや国際機関の支援によって、貧困家庭への奨学金制度や児童労働対策が強化されつつあります。これにより、子どもたちがより長く学校に通えるようになってきています。しかし、地方と都市部の教育格差は依然として大きな課題です。
改善に対する日本の動き
日本は、カンボジアの教育支援に積極的に取り組んでいます。JICA(国際協力機構)は、教師の研修プログラムや教育施設の整備に貢献しています。また、日本のNGOやボランティア団体も、現地で教科書の寄付や学校の建設などの活動を行っています。特に、算数や理科などの理系教育の強化が進められており、日本のノウハウを活かした教育プログラムが導入されています。これにより、カンボジアの子どもたちが質の高い教育を受けられる環境が整いつつあります。
今後も、カンボジアと日本の協力が続くことで、教育の質が向上し、子どもたちが明るい未来を築くための基盤が整うことが期待されます。
カンボジアってどんな国?⑥:文化的背景から見るカンボジア人の特徴
仏教の教えが根付くカンボジアの文化
カンボジアの文化には仏教の教えが深く根付いています。国民の90%が上座部仏教を信仰しているので、日常生活や価値観に大きな影響を与えています。仏教の教えは、人々に穏やかさや忍耐、慈悲心を育むとともに、年長者や高位の人々に対する尊敬の念を強調します。
仏教が影響を与えるカンボジア人の特徴
カンボジアでは、家族やコミュニティの絆が非常に重要視されています。また、礼儀や敬意といった観点も重視されているのが特徴です。これらは、仏教の教えの影響からとされています。
そのため、カンボジア人は温厚で優しく、礼儀が正しいと言われています。忍耐の強さと努力家であるとも評価されています。カンボジアにいくと何事も笑顔で接してくれると言われています。また、感謝の気持ちを手を合わせありがとうと言って示すところが特徴で、日本に似ているところもあるのです。そのようなことから、日本人との相性は非常に良いとされています。近年、日本で働くカンボジア人も増えてきました。これらの特徴からすると、とても相性が良いことで日本で働く人も増えていると言えるのではないでしょうか。
文化的背景から見るカンボジア人の特徴まとめ
このようにカンボジア人は、仏教の教えが文化や人々の価値観に大きな影響を与えております。温厚で優しく、礼儀正しい性格です。これらの人柄は日本人とも相性が良いです。カンボジアが注目をされている理由の一つにこういったカボジア人の魅力も含まれていると考えられます。特に今では、年齢が若く働き盛りなカンボジア人が多いことから、カンボジアでビジネスを行う海外の企業も増えてきているのです。
カンボジアってどんな国?⑦:歴史的背景から見るカンボジア
カンボジアの歴史
今までカンボジアの特徴や現状の国について説明してきました。現在のカンボジアを語る上でカンボジアの歴史は密接に関連してきます。
なぜ、カンボジアの平均年齢は若いのか。なぜカンボジアに外資系の工場が建てられているのか。なぜカンボジアでは米ドルが流通しているのか。などがわかる内容になっています。
フランスの影響による経済発展
古代カンボジアは、9世紀から15世紀にかけて強大なクメール帝国の中心地として栄えていました。現在では世界遺産とされているアンコールワットやアンコール・トムなどの寺院群は、現在にも続く技術力と宗教的な繁栄を象徴しています。
クメール帝国は次第に衰退し内紛や外部からの侵略(特にタイからの侵攻)により、領土が縮小し政治的な安定が失われました。そんな中、19世紀末にフランスの植民地政策の進展が影響し、カンボジアはフランスの支配下に置かれることになりました。
この時期、カンボジアはフランスの植民地制度の下で政治的・経済的な変革が進められました。これがカンボジアが発展した背景の一つです。そこからフランスにより、インフラの整備が始まり鉄道や道路、港湾の整備などが行われ経済の発展が図られました。結果的に、貿易の活性化につながり多くの外国との繋がりを持つきっかけとなったのです。
ポルポト政権による社会的影響
カンボジアの歴史といえば、ポルポト政権の話が思い浮かぶのではないでしょうか。それほどに、悲劇的で国家と人々に計り知れない深い傷を残しました。
20世紀に入ると、カンボジアはフランス植民地時代を経て、1960年代に独立を果たしました。その後、1975年4月から1979年1月までポルポト政権が続きます。ポル・ポト政権は「クメール・ルージュ(赤いクメール)」と呼ばれた共産主義政党であり、「原始共産制(原始共産制のモデルは人類の初期の社会である狩猟採集社会)」の実現をめざしました。
ポルポトは、政権を奪取した直後からプノンペン市民を強制的に農村部に移住させました。農業生産に従事させ、自力更生の原始共産主義革命を実現しようとしました。これにより多くの犠牲者を生みます。苛酷な強制労働による栄養失調や飢餓、病死により多くの人々を死に追いやりました。それだけではありません。医師や教師ら知識層を「資本主義の手先」として殺害するなど、同胞を徹底的に管理しそれに従わない人々を次々に拷問し処刑に追いやったのです。
現在カンボジアの平均年齢が低いのは、ポルポト政権下での虐殺と弾圧によって多くの中高年層が亡くなり、社会全体の年齢構成が偏ってしまったからなのです。
ポルポト政権終了から現在までのカンボジアの経済発展
1979年1月、カンボジアの隣国ベトナムがポルポト政権を打倒したことで、ポルポト政権は崩壊します。1980年代まで内戦などが続き、様々な武装勢力が争いました。
1990年代になると、国際連合(UN)主導で和平協定が締結され、カンボジアの内戦は終息に向かいました。この時期、国際的な支援が増えてカンボジアの再建が始まりました。このタイミングで多くの米ドルが流入してきます。ポルポト政権下で、自国の通貨であるリエルを廃止し金融機関の職員が虐殺されてしまったことで、リエルに対する信任が高まらず普及しいていなかったこともありドルが主流になってきます。
その後も外国の支援も受けつつ経済発展を続けてきました。カンボジア再建には海外からの多大な支援が背景にあったのです。結果的に米ドルが流通し、通貨信用度の高さにより海外との関係も深まるなどといったことにつながり、現在のようなグローバルに注目される国として進展してきたのです。
カンボジアの歴史まとめ
現在のカンボジアの成長とカンボジアの歴史は深く関わってくるのです。歴史的背景を知ることで、カンボジアの経済発展の要因がよく分かったのではないでしょうか。悲惨な出来事によるアドバンテージがある中で、大きく経済成長を果たしているカンボジは、グローバル注目を集め多くの支援も受けています。今後も成長が期待されるカンボジアですが、注目を集める理由は経済成長だけではないのです。
まとめ
以上本記事では、カンボジアってどんな国?をテーマに、基本的な情報から歴史、文化に触れて解説してきました。カンボジアへの印象が大きく変わったのではないでしょうか。また、カンボジアが注目を集めている理由がわかった方もいると思います。
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